平成27年度 入学者のみなさんに

第2章 人の体入門UBIOLOGY

確認テスト計6枚

2-1 眼の構造


ヒトの目は光を集めるレンズと、光を感じる細胞が分布している網膜(もうまく)などからできている。

角膜は眼球の正面を覆う透明な膜で、レンズを保護している。

レンズ、別名水晶体は光を集め、網膜上に像を結ばせる。これにより物体は網膜上に倒立の像を結ぶ。

毛様体がレンズを引っ張り、その厚さを調節する。


虹彩(こうさい)は光の量を調節する。暗いところでは瞳は大きくなる。

網膜には光を感じる細胞である視細胞(しさいぼう)が存在する。

レンズと網膜の間には硝子体(しょうしたい:ガラス体)がある。

光はレンズを通って網膜の視細胞で感じ取られ、その刺激が視神経を通って大脳の視覚を感じる部分に伝えられる。

(図:角膜、水晶体、毛様体、虹彩、網膜、硝子体を覚えよう)


2-2 の構造


耳は音を受け取る聴覚器官で外耳、中耳、内耳からなる。

音は外耳道を通って鼓膜に至り、これをふるわせた振動が耳小骨によって増幅された後、内耳にある蝸牛(うずまき管)に伝わる。
ここには聴細胞があり、感じた音の振動は聴神経を経て大脳に伝わる。

内耳には音を刺激として受け取る蝸牛(うずまき管)の他にも、身体の傾きを感じる前庭や回転運動を感じる半規管(はんきかん)がある。

鼓膜は外耳と中耳を隔てている。

中耳には鼻のほうからの耳管が通じている。

耳小骨は中耳にある。

(図:外耳道、鼓膜、耳小骨、耳管、中耳、内耳、蝸牛(うずまき管)、半規管を覚えよう)

鼻の奥には鼻腔(びくう)があり、そこにある嗅細胞(きゅうさいぼう)がにおいを受け取り、嗅神経を経て大脳に伝わる。

味は舌神経を経て大脳に伝わる。
甘い、塩辛い、苦い、すっぱいの4種類で感じ取る。


2-3 神経のはたらき


神経系には中枢神経(ちゅうすうしんけい)と末梢神経(まっしょうしんけい)がある。

中枢神経には大脳、小脳、間脳、中脳、延髄、脊髄がある。

大脳は複雑な精神活動の中枢である。

小脳は平衡感覚を保つ中枢である。

間脳は自律神経、体温調節の中枢である。

中脳は眼球運動の中枢である。

延髄は呼吸、循環系などの中枢である。

脊髄は反射の中枢である。

(図:大脳、小脳、間脳(視床と視床下部)、中脳、延髄、脊髄を覚えよう)

末しょう神経は中枢神経から枝別れした部分をいう。

末梢神経には感覚器官から中枢へ刺激を伝える感覚神経と中枢から運動器官へ命令を伝える運動神経、そして内臓の活動を支配する自律神経がある。


神経細胞には神経線維と細胞体があり、細胞体からは樹状突起が出ている。

通常の反応では刺激が感覚器官から感覚神経を経て脊髄から大脳に至る。そして大脳からの命令は脊髄を経て運動神経に至り筋肉などの運動器官に伝わる。

通常とは違い、加えられた刺激に対して無意識に起こる反応を反射という。
感覚神経からの信号が脊髄を通って大脳に伝わると同時に運動神経にも伝わるため、反射の反応時間は極めて短い。


(図:神経細胞、樹状突起、神経線維(軸索など)を覚えよう)

骨格は体を支えている。骨と骨の間には関節があり、筋肉は骨とつながって働き、運動ができるようになっている。腕の曲げ伸ばしなどは対になった一方の筋肉が収縮する時に、他方の筋肉は弛緩する。

2-4 栄養と消化吸収


人の消化器系は口に始まり食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、直腸、肛門に続く消化管とそれらにつながる消化液を分泌する唾液腺、すい臓、肝臓などから構成される。

食物は消化管を通る間に消化され、必要な栄養分は吸収される。

食物には三大栄養素である炭水化物、蛋白質、脂質などの栄養分が含まれ、蛋白質は体を作るもとになる。
その他ビタミンや無機物も重要である。


消化液の中には消化酵素が含まれており、食物を吸収できるかたちに変化させている。

消化酵素には最適温度がある、蛋白質が変性するような高温には弱い。


一つの酵素は一つの物質にしか作用しないという基質特異性を持っている。




デンプンは炭水化物の一種で、だ液に含まれるアミラーゼによって麦芽糖に分解される。さらに小腸のマルターゼ(マルト―ス)によって最終的にブドウ糖にまで分解される。

蛋白質はペプシンやトリプシンなどによってアミノ酸に分解される。

脂肪はリパーゼによって脂肪酸とグリセリンに分解される。





(図:栄養素は様々な消化酵素によって消化吸収される。覚える酵素は本文に記載されているものだけで十分です)

消化された栄養分は小腸のじゅう毛の毛細血管から吸収される。

ブドウ糖やアミノ酸はじゅう毛の血管を通って肝臓に運ばれる。
一方、脂肪酸はじゅう毛のリンパ管を経て全身に運ばれる。

水分は主に大腸で吸収される。

2-5 外呼吸と内呼吸


食物から吸収したブドウ糖は全身の細胞に運ばれ、そこで酸素を使って二酸化炭素と水に分解される。
この時にエネルギーが生み出される。生物はこのようにして生命活動に必要なエネルギーを得ている。

生活活動に必要なエネルギーを作り出す働きを呼吸といい、細胞で行われている。
つまり、ブドウ糖と酸素を使って
エネルギーを生み出すことを呼吸といい、結果として二酸化炭素と水が生じる。

外界と生物体内との間で酸素と二酸化炭素を交換することを外呼吸といい、人では肺で行われる。

これに対して細胞と血液との間で酸素と二酸化炭素を交換することを内呼吸という。






動物も植物も生きるために呼吸を行っている。

肺呼吸では、吸った空気はまず、気管を通る。

気管は枝分かれして気管支になり、その先端は肺胞といううすい袋になっている。

肺胞は毛細血管で網の目のように取り囲まれており、肺胞の中の空気と毛細血管の中の血液との間で酸素と二酸化炭素の交換が行われている。



(図:肺胞とその周りを囲む動脈、静脈に注目しましょう)

酸素は血液中の赤血球に取り込まれて全身の細胞に運ばれる。
二酸化炭素は血液にのって肺まで運ばれて、呼吸により体外に排出される。

人の呼吸のしかたには胸式呼吸と腹式呼吸があり、前者は肋骨と肋間筋の働きによるもので、後者は横隔膜を上下させるものである。

2-6 体循環と肺循環


人の血液の循環には体循環と肺循環がある。
心臓の左心室から大動脈を通って全身の毛細血管に至り、大静脈を通って心臓の右心房に戻ってくるのが体循環である。
心臓の右心室から肺動脈を通って肺胞に至り、肺静脈を通って心臓の左心房に戻ってくるのが肺循環である。

これらの血管のなかで、酸素が多い血液が流れるのは肺静脈と大動脈である。


心臓はポンプの役割をしており、心筋という厚い筋肉でできている。

心臓から血液が送り出される血管を動脈、体の各部から心臓へ戻る血管を静脈といい、この二つは毛細血管で結ばれている。

動脈は心臓からの血液の圧力に耐えるために壁は弾力線維に富んでいる。
静脈には逆流を防ぐために所々に弁がついている。


肝臓は体内で最大の臓器で、体循環の
25%は肝臓を通る。
肝臓には栄養分であるブドウ糖をグリコーゲンとして一時的に貯える働きがある。
空腹になるとグリコーゲンは血液中に放出される。

その他に脂肪の消化を助ける胆汁を作る働きがある。胆汁が一時的に貯えられる場所が胆のうである。

また、アンモニアなどの有害な物質を尿素という無害な物質に変える解毒作用の働きもある。






腎臓は不要なものや過剰な水分を排泄する。できた尿は尿管を通って膀胱にためられた後に排泄される。







2-7 ヒトの血液


血液は細胞に酸素や栄養を運んだり、二酸化炭素や老廃物を運び出す働きをもつ。
人の血液は体重の約8%を占め、固体成分と液体成分から成っている。

固体成分には赤血球、白血球、血小板があり、液体成分は血漿(けっしょう)という。

固体成分は骨髄で作られる。

赤血球は円盤状で酸素を運搬する働きをもつ。これはヘモグロビンという酸素と結合しやすい色素を持っていることによる。赤血球は細胞核を持たない。

白血球は細菌を殺す作用や感染を防御する働きをもつ。これには好中球やリンパ球がある。大きさは赤血球の
2倍ぐらいで細胞核を持っている。

血小板は血液を凝固させる働きをもつ。小さくて細胞核を持たない。

血漿は物質の運搬や感染の防御の働きをもつ。


(図:好中球、好酸球、好塩基球、単球、リンパ球を合わせて白血球という。)



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