平成27年度 入学者のみなさんに

第10章 遺伝情報BIOLOGY

確認テスト計2枚

10-1 核酸の構造


核酸とは細胞核に含まれる酸性物質のことである。
核酸は糖、塩基、リン酸が
1分子ずつ結合したヌクレオチドという構成単位が多数結合したポリヌクレオチドで、DNA(ディーエヌエー:デオキシリボ核酸)とRNA(アールエヌエー:リボ核酸)が有名である。
(化学第5章参照)

DNA(ディーエヌエー:デオキシリボ核酸)の糖は五単糖のデオキシリボースである。

DNA
の塩基はRNAと共通のものとしてアデニンA、グアニンG、シトシンCがあり、DNAに特有の塩基としてチミンTがある。

DNAのリン酸はRNAと同じく無機リン酸であり、これの結合で、はしごの縦部分を形成する。そして糖を仲立ちとして塩基同士が手を結ぶ。

RNA(アールエヌエー:リボ核酸)の糖は五単糖のリボースである。RNAの塩基は共通のものとしてアデニンA、グアニンG、シトシンCがあり、RNAに特有の塩基としてウラシルUがある。

RNAのリン酸もDNAと同じく無機リン酸であり、これの結合で縦の部分を形成する。そして糖を仲立ちとして塩基同士が手を結ぶ。

(図:はしご状の縦部分のPとOがある部分がリン酸、はしご状の縦部分の5角形の部分が糖、はしご状の横部分は両方から色がついている塩基が手を伸ばし、真ん中で水素結合という結合で結ばれている。これではしごができている。さらにこのはしごはDNAではらせん状になっている。)

1953年ににワトソンとクリックはDNAの分子モデルを発表した。
2本の鎖が平行に並び、らせん状にねじれて二重らせん構造をなしている。
塩基は決まった相手と対をなしている。アデニン(A)といつも手を結んでいるのはチミン(T)で、グアニン(G)といつも手を結んでいるのがシトシン(C)である。
なお、多くのRNAは一本鎖で存在している。

核の中で
DNAはヒストンと呼ばれるタンパク質などと結合して、細い糸状の染色体として存在している。
DNA、ヒストン、その他のタンパク質からなるこの細い状態の染色体をクロマチンという。
細胞分裂の際にはクロマチンがらせん状に折りたたまれて凝縮し、太い棒状の染色体になる。
(図:二重らせん構造のDNAが丸いヒストンに絡みつき、さらに折りたたまれてクロマチンを形成するところ)

10-2 蛋白質の合成


遺伝子はタンパク質の合成を支配し、遺伝形質を支配している。だから、DNAはタンパク質を構成するアミノ酸の配列順序を指定する情報を持っているはずである。
DNAの分子構造をみてみると、糖やリン酸の部分は共通であるので、遺伝情報は4種類の塩基の並び方にあると考えられていた。
その後、3つの塩基で1つのアミノ酸が規定されることが判明した。

DNAは核の中に存在するが、タンパク質は細胞質にあるリボソームで合成される。
したがって核内のDNAの遺伝情報がタンパク質の合成を支配するためには、この間をつなぐ物質が存在するはずである。これがRNAである。

遺伝情報に基づいてRNAやタンパク質がつくられる過程を遺伝子の発現という。

遺伝情報に基づいてRNAやタンパク質がつくられる過程は、DNAの塩基配列をもとにRNAが合成される転写(てんしゃ)の過程とRNAの塩基配列をもとにタンパク質が合成される翻訳(ほんやく)の過程に分けられる。

@核内の
DNAの二重らせんの一部分がほどけ、2本の鎖に分かれる。ほどけた部分の1本の鎖を鋳型としてmRNA(メッセンジャーRNA)やtRNA(トランスファーRNA)合成される。ここまでの過程を転写と言う。塩基配列がAGGという部分からはTCCという鋳型ができる。

A核内で
DNA1本鎖を鋳型としてつくられたmRNAは核孔から細胞質に出て行く。

BtRNAも核内でDNA1本鎖を鋳型としてつくられ、細胞質に出て行く。そして自分の持っている3つの塩基配列に見合ったアミノ酸を見つけて、これを自分にくっつける。




(図:DNAの二重らせんの一部がほどかれて、鋳型としてのmRNAが合成されている)


C
mRNAの塩基配列は長く続くが、結局は3つずつが1つのペアの集合体である。このペアをコドンという。tRNAも自分のコドンを1つ持っている。

D自分のコドンに相当するアミノ酸をくっつけたtRNA
は、mRNA上の自分に合致したコドンをみつけて、そこに接合する。そしてアミノ酸を離す。

EリボソームはtRNAの離したアミノ酸をつなげて蛋白質にする。つなげる順番はmRNAにあるコドンの順なので、確実に同じ蛋白質が合成されるはずである。
この過程を遺伝情報の翻訳という。

(図:核の中のDNAの塩基配列を読み取って、3つの塩基のまとまり持ったトランスファーRNA(tRNA)
が核の外んび出てアミノ酸をくっつけて運んでくる。そしてメッセンジャーRNA(mRNA)の上にに合体するとアミノ酸がはずれ、これをリボゾームがつなげて蛋白質にする)



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