平成27年度 入学者のみなさんに
炭水化物
デンプンはグルコース、別名ブドウ糖からできている。
デンプンもグルコースも、ともに分子式でHとOが2:1の割合で含まれているのでCm(H2O)nとおくことができる。
だから炭水化物と言われるのである。炭水化物は別名で糖類とも言われる。
単糖類
炭水化物を構成する最小単位を単糖類という。
単糖類ではグルコース、ガラクトース、フルクトースが重要である。
ガラクトースはグルコースの立体異性体である。4位のCにつく水素原子とヒドロキシ基の向きが逆になっている。
二糖類
単糖類が2分子結合した糖類である。
マルトース
ラクトース
スクロースは
単糖類や二糖類には甘味を示すものが多い。
スクロースは砂糖の主成分である。マルトースは水あめの主成分である。蜂蜜の甘みはグルコースとフルクトースによる。
多糖類
単糖類が3個直鎖状にグリコシド結合したものを三糖類、4個のものを四糖類、10個程度結合したものをオリゴ糖という。でんぷんやセルロースはグルコースが1000分子以上結合してできており、これを多糖類という。
でんぷんにヨウ素溶液を加えると青紫色を呈する。
でんぷんは唾液中のアミラーゼという酵素によって分解されマルトースに変化する。これは小腸にあるマルターゼという酵素によってさらに分解されてグルコースとなり腸管から吸収される。
タンパク質を構成する単位をアミノ酸という。
アミノ酸が2つ結合したものをジペプチド、3つ結合したものをトリペプチド、数十個結合したものをポリペプチド、さらに多くのアミノ酸が結合したものを蛋白質という。
タンパク質を含む食品として、動物性タンパク質では肉類、植物性タンパク質では大豆が代表的である。
タンパク質は胃液に含まれるペプシンという酵素や膵液に含まれるトリプシンという酵素によって加水分解されてペプトンになり、さらにアミノ酸に変化する。
ヒトのタンパク質を構成するアミノ酸は約20種類、存在する。そのうち。8種類は体内で合成できないので食物から摂取する必要がある。これらを必須アミノ酸という。
フェニルアラニン、ロイシン、バリン、イソロイシン、スレオニン、ヒスチジン、トリプトファン、リジン、メチオニンである。
このうちヒスチジンは幼児期のみに必須であり、9種類になる。
覚え方は「風呂場イスひとりじめ」である。
油脂は3分子の高級脂肪酸と1分子のグリセリンからなるエステルである。
油脂を構成する高級脂肪酸で、炭素間がすべて単結合であるものを飽和脂肪酸という。
炭素間二重結合が存在するものを不飽和脂肪酸という。
飽和脂肪酸を含む油脂は動物性油脂が多く、融点が高いので常温では固体である。これを通常、脂肪という。
不飽和脂肪酸を含む油脂は植物性脂肪が多く、融点が低いので常温では液体である。これを通常、脂肪油という。
生体内で完全燃焼させた時に糖質とタンパク質は1gあたり4kcalの熱量が発生するのに対して、脂質は1gあたり9kcalの熱が発生するので、エネルギーを貯蔵するのに適している。
油脂のように高級脂肪酸とグリセリンのエステルからなる物質を総称して脂質という。
リン脂質は分子内にリン酸基を含む脂質であり、細胞膜の主成分になっている。
ナトリウム、カリウムはイオンとして浸透圧の維持や神経の興奮伝達に重要な働きをしている。
カルシウムはイオンとして骨の成分になり、筋肉の収縮や血液凝固の際に必要である。
リンは細胞内のエネルギー産生のためのATPや遺伝情報を持つ核酸に含まれている。
鉄は2価のイオンとして血中の酸素の運搬に関与するヘモグロビンを構成している。
マグネシウムはイオンとして緑色植物のクロロフィルを構成している。
生体内の代謝や生理現象を円滑に進めさせる有機化合物を総称してビタミンという。ヒトの体内では合成できない物質が多く、欠乏すると特有の症状を呈する。
ビタミンA、別名レチノールの欠乏で夜盲症、別名とり目になる。
ビタミンB1、別名チアミンの欠乏で脚気になる。
ビタミンB2、別名リボフラビンは細胞呼吸に必要な物質である。
ビタミンC、別名アスコルビン酸の欠乏で壊血病になる。
ビタミンDの欠乏でくる病になる。骨の成長に関与する。
ビタミンE、別名トコフェロールは酸化防止作用を持ち、血行を促進する。
ビタミンKは血液凝固に関与し、欠乏すると凝固が遅延する。
ホルモンとは生体内で作られ、主に血液によって全身に運ばれて様々な生理作用をおこす化学物質である。
ホルモンにはペプチドホルモンとステロイドホルモンがある。
ペプチドホルモンにはインスリンなどがある。
ステロイドホルモンには男性ホルモンであるテストステロン、女性ホルモンであるエストラジオールなどがある。
核酸とは核に含まれる酸性物質のことである。
核酸は糖、塩基、リン酸が1分子ずつ結合したヌクレオチドという構成単位が多数結合したポリヌクレオチドである。
核酸にはデオキシリボ核酸DNAとリボ核酸RNAがある。
リン酸と糖は交互にエステル結合によって多数結合しており、それぞれの糖に塩基が1つずつグリコシド結合している。
核酸の中の塩基は4種類で構成されている。
DNAではアデニンA、グアニンG、シトシンC、チミンTの4種類がみられる。
RNAではアデニンA、グアニンG、シトシンC、ウラシルUの4種類がみられる。